皆さんは【イワヒバリ】という鳥をご存知でしょうか?
世界各地に生息し、日本の北海道と本州中部以北の高山でも観察することが出来る鳥です。
このイワヒバリですが、複数の雌と雄が共同で繁殖する変わった習性を持っています。いうなれば乱婚状態です。
乱婚とは?
乱婚とは、集団内の雄と雌がともに、複数の相手と性的関係を持つ配偶システムである。
そしてその乱婚の中でも順位の高いイワヒバリのメスは1カ月に100回以上も交尾するというのです。
どうしてそのようになったのでしょうか?
イワヒバリの生態
標高2400メートルを超える高山に住むイワヒバリは、複数の雌雄が共同で繁殖するという変わった習性を持っています。
ほとんどの鳥はオスが求愛し、メスがオスを選ぶのですが、イワヒバリではメスが積極的に求愛します。
繁殖期になるとメスの総排泄腔(鳥では生殖輸管と排泄・排尿の管が一つになっており、総排泄腔と呼ばれる)が突出して充血し、真っ赤になります。
メスは尾を立てて総排泄腔を見せるようにして、後ろ向きにオスへにじり寄るという求愛行動をとります。
隠れコラム「なんかエロスを感じる...」
イワヒバリの生活単位はそれぞれ4羽程度の雌雄からなり、群れでなわばりを持ちます。
群れの中には順位があり、オスはメスよりも強く、基本的には年上ほど順位は上です。雌雄それぞれの中に一番強い"ボス"が存在します。
メスは交尾可能な期間に群れの中のすべてのオスに求愛し、オスもまたすべてのメスと交尾します。
隠れコラム「これ、スワッピングじゃん」
単に多くの異性と交尾するというだけでなく、同じ個体と何度も交尾するため、交尾可能な1カ月間に1個体が平均して100回以上も交尾することになります。
求愛と交尾にはメスの順位が関係していて、高順位のメスが求愛しているとき劣位メスは求愛できません。
したがって、高順位のメスほど交尾相手の数や交尾回数が多くなります。
一方、オスは順位と交尾回数に関係がありません。
あるメスが特に受精確率が高い時期になると、交尾した高順位のオスはそのメスが他のオスと交尾しないようについてまわるため、結果として他のメスと交尾する機会が失われるので、順位と交尾回数の関係が結びつかないのです。
順位の低いオスはこのようなときに別のメスと交尾して、このメスにさらに順位の低いオスが交尾しないようについてまわる訳です。
イワヒバリはイクメンのサポートが手厚い?
交尾が多いメスは子育てがラクチンになります。メスはそれぞれが別々の巣を持ち、産卵します。
イワヒバリの場合、卵を温めるのはすべてメスが行いますが、ヒナへの餌やりはオスも手伝います。
このときオスは、交尾した回数が多いメスの巣へより頻繁に餌を運びます。
したがって、たくさん交尾したメスのボスは、多くのオスからたくさんの手伝いを受けることができるのです。
厳しい環境である高山での子育てでは、ヒナが餓死することが多く、どれだけ多くヒナへ給餌できるかが繁殖の成否を分けます。
結果として、順位が高いメスほど多くの子どもが残せるということになるのです。
結論
イワヒバリは良い子孫を残すために交尾しまくる!