「シンデレラ」は現代においても人気がおとろえる事がない童話の1つです。
継母や姉にいじめられていたシンデレラが、魔法使いに出会い、魔法で作られたドレスを纏ってカボチャの馬車に乗り込み、舞踏会へ参加します。
そこで素敵な王子様に見初められて、シンデレラも王子様を好きになるのですが、0時の鐘とともに魔法が解けるので慌てて舞踏会を去ろうとします。
その去り際に落としてしまったガラスの靴をきっかけに王子様と結ばれるというストーリーですが、このストーリーに憧れた女の子は多かったと思います。
ところで、シンデレラが履いていたというガラスの靴ですが、冷静に考えると、履くには無理があると思います。
「おとぎ話だから」と言ってしまえば身も蓋もありませんが、果たして本当にガラスだったのでしょうか?
ガラスではなく毛皮の靴
実はこの「ガラスの靴」は、原典の誤訳から生まれたもので、本当は「毛皮の靴」だったと言われています。
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そもそも童話「シンデレラ」は、古くから伝わる民話を原典として、多くの作家によって作品化されたものです。
この原典の中で、シンデレラが履いていた靴の素材はフランス語でリスの毛皮を意味する「vair(ヴェール)」となっていました。
当時リスの毛皮は高級品で、貴族階級の人間しか身につけることができなかったため、羨望のモチーフとして扱われたのだと考えられます。
ところがこれが後に、ガラスを意味する「verre(ヴェール)」と誤訳されてしまいました。
以後ガラスで定着したのは、リスの毛皮を意味する「vair」が現代ではあまり使われない言葉であること、ガラスと比べて見劣りすることなどが理由に挙げられたようです。
確かにガラスの靴の方が美しいイメージが湧きやすいですし、高級感があります。
ちなみに、古い民話を元に多くの作家によって作品化されたシンデレラですが、特に有名なグリム兄弟版シンデレラ「灰かぶり姫」と、シャルル・ペロー版シンデレラ「サンドリヨン」には、様々な相違が見られます。
先に発表された「サンドリヨン」には、既に魔法使いやかぼちゃの馬車が登場していましたが、後に発表された「灰かぶり姫」には登場していません。
様々な解釈があり、誤訳があり、現代の「シンデレラ」は作り上げられていったのです。
結論
ガラスの靴はもともとはリスの毛皮の靴だった!